2015年をどう読むか

2015年をどう読むか
1月21・22日の両日、東京池袋で開催された「焼肉ビジネスフェア〜ミートフードEXPO」の開期中、フードスタジアムさん主催のパネルディスカッションが行われた。専門紙誌の編集長もしくは元編集長によるもので、「2015年の外食トレンドの予測と肉ブームの行方」とのタイトルでディスカッションが行われ、お招きいただいた。
その出席を機に、自分なりに2015年の外食市場の流れを考えてみた。

2014年の流れからすると、昨年までの「空前の肉ブーム」「餃子酒場ブームの兆し」「かき人気爆裂」といった流れは、2015年も引き続きあり、そう簡単には衰えずに浸透または定着してくであろう。さらに、それらの中から、都市部から地方都市へと拡散するものも出てくるとみられる。
肉ブーム一つとってみても、非常に細分化しており、これまでの鶏、豚、牛、馬といった切り口に鹿や猪といったジビエが加わり、さらに、赤身、熟成肉、内臓などと、異なる切り口が渾然一体となって肉市場そのものを拡大に導いている。業態や提供方法も多岐に及んでいるが、その根底に流れいるものは「美味しく、ヘルシーに」といったキーワードがあるようだ。
その点で言えば、昨年来の馬肉に加え、今年の干支である羊肉はブレイクを予感させる諸条件が整いつつあるとみてよい。

では、2015年にどんなニュースが紙面を騒がすのかというと、「エッ!?あの外食企業があそこの参加に!?」といった中堅から大手飲食企業の大型M&Aが起きそうな気配である。すでに、売りに出ているビッグネームもいくつかある。水面下ではかなり具体的な詰め作業が行われている案件も散見される。
この背景としてはアベノミクスに伴う株価上昇により、投資ファンドの動きが活発化してくる。オーナー系で経営の厳しいところがそのターゲットとなるだろう。さらに、オーナー同士がそもそも懇意にしているケースなども受け皿成りうる。
そして、昨年に続き、上場する飲食企業も増える傾向にあるとみられる。
また、人手不足によるクローズや出店ブレーキがより顕在化してくるだろう。例えば湾岸エリアのように「売れるエリア」であっても、「働く人が集まらないエリア」には出店しないといった、新たな価値観による出店戦略が強いられることになるとみられる。

では、2015年マーケットトレンドキーワードは何だろうか。まず一つ目は「外さない消費」だ。アベノミクス第2章で起こるインフレとデフレの同時進行により、特に大衆マーケットでは「所得が上がらずに物価が上がる」という状況下で、より消費者の厳しい選択眼に晒されることは確実だ。
そして、アベノミクス第2章で起こる強烈な貧富の差により、格差社会が加速し「超格差社会」へと向かう。その点で、高級業態にはチャンスが訪れる側面もみられるだろう。
その一方で、「外さない消費」が生む「大衆」の進化と専門店化。それが一気に進むだろう。もはや安かろう、悪かろうでは通用せず、より進化した価値の高さも兼ね備えた「大衆業態」の専門化が進むとみられる。
外国人観光客の増加に拍車がかかり、飲食店においても、地に足のついたインバウンド対策がさらに求められることになるだろう。
さて、これらの中でも非常に注目すべき動きはコンビニの外食進出だろう。スリーエフが銀座に「グーツ」を、ミニストップは日本橋に「シスカ」をそれぞれ実験的に出店している。例えば、ミニストップの「シスカ」では、4000円クラスのワインを含む200アイテムを小売価格で飲むことができる。生ハムやソーセージ、缶詰類など、皿やグラスも提供してくれる。まさに簡易なバルだ。こうした「コンビニ」の姿をしたバルが増殖を始めるとどうなるのか。

これまで外食市場という「大きな森」には、大手が増殖できないという「森の暗黙の掟」があった。現在でも、いっても3割台。残りの7割弱は「ザラ場」といわれる市場だ。しかし、コンビニがこの森を一気に焼き払う危険が出てきたのだ。
セブンイレブンが昨年秋から実験的に導入し始めたドーナツ。わずか6種類のラインアップだが、1万7,000店への導入により、初年度の販売目標は実に600億円。ミスタードーナツの売上(直近で1030億円)の実に6割に匹敵数字なのである。この販売力をどうみるか。その力はすでにコーヒーで実証されている。中途半端な商品、サービス、空間を提供している店は、根こそぎ、コンビニバルにやられてしまう危険がある。もっと、危機感をもって、ブラッシュアップする必要があるだろう。鳥貴族の大倉社長が競合として、脅威に挙げるのは同業の焼き鳥チェーンではなくコンビニの焼き鳥だ。その意味がもうおわかりだろう。

Text by 川端隆

2015/01/26